OPE室も大変ですよ

OPE室で勤務していた時の事です。
子宮外妊娠で緊急搬送されてきた患者さんでした。当院での受診経験はありません。

そのまま全身麻酔を行い、子宮外妊娠の為、着床した受精卵の除去が行われました。

そのまま放置していると子宮では無い所で胎児が育ち、破裂を起こすリスクがあるからです。

当然ですが、子宮外での妊娠では妊娠を継続する事は出来ません。機能的に32週も育てる事が出来ないのです。

妊娠の場所を産婦人科の先生は確認しました。そこをしっかり見ていくと卵管采が開いていなかったのです。

使い物にならないと判断した医者は左側の卵管采を切除しました。
その後、念の為、右側も見に行きました。左の卵管采を切除すると左側の排卵が無くなります。

毎月女性は左右交互に排卵しているので、左が無くても最悪右側が残っているので右の排卵の卵で受精する事が出来ます。

しかし、この方の場合は当てにしていた右側の卵管采の方が閉じてしまっていて、使い物にならなったのです。

程度としては左よりも閉じている状態でした。
実は右側の場合はどうにか開かせようとすれば開く程度の閉じ方だったのです。
それを右側の状態を確認しないままさっさと切除してしまったのです。
もう切った物はどうにもなりません。担当だった上司の医者は部下の医者に

「(切除してしまった事は)上手に言っておいて。」と言うのです。

表現的にもこちらの確認ミスですが、切除しなくてはいけない状況だったと言わせる目的の言葉です。

部下の医者は歯切れの悪い返事をしました。私もその言葉を聞いて、一瞬作業が止まってしまいました。
この病院に勤務して1年程度ですが、こんな事が往々にして行われているのか!?と思った瞬間です。

手術自体は無事に終りました。一つ大きく変わった事は一つの命が絶えた事と一人の女性が自然に妊娠できなくなってしまった事です。

後に彼女のカルテを先輩と確認しました。結婚して数年間、子宝に恵まれず、不妊治療も受けていない状態での自然妊娠でした。

検査薬で陽性だったので喜んで近所の産婦人科のクリニックに受診したそうです。
喜びもつかの間、エコーにて子宮外妊娠が発覚しました。痛みの何もないまま緊急搬送となり、病院に着くや否や手術となったと言う経緯です。

OPE室ではほぼ全身麻酔下で手術を行います。寝ている研修医の先生もいますし、手術に関係の無い話しをするスタッフも多々います。

医者や看護師にとっては年に何回もある手術ですが、患者さんにとっては初めての方が圧倒的に多いです。

そんな状況を忘れてしまっているのではないかと思います。結局先生がその方にどの様に説明したかは知りません。

今回自然に妊娠出来たのに、今後は自然妊娠は不可能だと言われてどれ位納得できるでしょうか。

医療者として働いていると、知らなくてもいい医療業界の裏側を見てしまうので嫌になった事は多々あります。